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D-SPORT Racing Team挑戦の軌跡 vol.2〜2023年シーズンの展望

2023.03.30 by PLAYDRIVE

Tadayoshi Nakajima / 2023年TGRラリーチャレンジ開幕戦でデビューしたロッキー。

先日、ダイハツ・ロッキーでのTOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジ参戦を発表したD-SPORT Racing Team。今シーズンもすでにK4GPへの参戦や、「D-SPORT&DAIHATSU Challenge Cup 2023 沖縄」に殿村裕一監督と相原泰祐選手がアドバイザーとして参加するなど、精力的に活動を始めている。今回はD-SPORT Racing Teamを率いるダイハツ工業の殿村監督と相原選手に加え、チームをまとめるSPK株式会社の柴正雄ゼネラルマネージャーに話を伺った。

──今季は1月のK4GPにミライースで出場するなど、すでに新しい活動が始まっていますが、今季の狙いと、それぞれの目標が定まっていたら教えてください。
殿村:先ほど(vol.1参照)お話に出たとおり、ロッキーやミライースなど参戦車両の拡大と同時に、イベントの数を増やして参加者の裾野を拡大していきたいですね。先日の沖縄では、場所の関係で25台の出走ではありましたが、Bライセンスの新規取得者が8名もいらっしゃいました。そういう方々の裾野を広げ、日本全国に広めていくことが使命かなと思っています。カテゴリーで言うと、TGRラリーチャレンジはすでに発表されているとおり、相原選手がロッキーで参戦しますが、私もコペンでエントリーします。これも裾野拡大につながる話で、Bライ取り立てでコ・ドライバーに挑戦したいという方と一緒に出るかたちです。ミライースで参戦するK4GPは耐久性を計るという狙いとともに、参加者の幅も広げていければと考えています。

Naoki Kobayashi / 参加者の裾野拡大を目的に、K4GPなどにも挑戦している。


相原:裾野を拡大するという話では、取材に来た上原あずみアナウンサーがライセンスを取得してD-SPORT Racing Teamに入って、K4GPではドライバー、ラリーチャレンジでは殿村さんのコ・ドライバーになるってすごい話ですよね。サーキット走行の経験も浅いので、『“普通のお客様”がサーキットを走ると、こういうことになるんだ』と理解ができた点は、知見として大きいです。今後、裾野を拡大していくにあたり、お客様に選んでいただけるクルマにするためにも、安全の部分は譲れませんから。

──裾野を拡大することの狙いとはどのようなものでしょうか。
相原
:主催イベントがようやく始まりましたので、楽しい場を提供するということはもちろん、そこでお客様の声を確認したり、どんな使われ方をしているのかを確認して『もっといいクルマづくり』につなげたいですね。今回、沖縄のラリーチャレンジのプレイベントには、コペンのユーザーさんがエントラントとして出場されていました。ダイハツ販売会社の営業さんとコペンオーナーの一般男性がコンビを組んで出ています。純粋に我々がラリーをやっているから『私たちもやりたい!』ということで参加してくださったので、本当にうれしいなと思います。

殿村:実はいくつかダイハツ販売会社の方からも問い合わせをいただいているので、今後もそういう仲間が広がったらいいなと。仲間が広がるのであれば、僕たちは喜んで一緒に、今までの知見からサポートさせていただきますという感じですかね。

──TGRラリーチャレンジでロッキーが初陣となるわけですが、開発の話を伺えますか?
:構想自体は昨年の秋頃からあり、情報も共有されていました。ですからSPKでも4WDのロッキーを購入して、ノーマル車の素性を調べていました。初戦に関してはノーマルの素性プラス最低限の装備で、そこからステップアップをする段取りになると思います。

SPK / ロッキーの車体開発は時間をかけて分析と課題解決を進めていく予定だ。


──時間をかけて何が起きるのかを見ていくということですね。
:今回、ブレーキに関しては試作品を盛り込んでいます。相原選手も言うように、安全に関わる部分が一番大事だと思っているので。あとは実際に走ってみて、どれくらい温度が上がるのか、ハンドリングどうなのかを検証します。タワーバーやアンダーガードなどのガード類は、今回テストとして実戦に投入します。まだあまりロッキーのパーツそのものが多くないので、購入したい方のためにD-SPORTブランドで用意していきたいですね。サスペンションに関しては、まず初戦はあまり手を加えずチャレンジさせてもらおうかなと思っています。

殿村:まずはノーマルの課題を出して、このあとは毎戦毎戦改善を進めて、『もっといいクルマづくり』のベースを鍛えるサイクルを回していく点にはこだわりたいですね。SPKさんとタッグを組むことで、アフターパーツも“もっといいアフターパーツにできる”という点が、我々のチームの強みだと思っています。


──相原選手はテストを終えてみていかがでしょう。
相原
:ベースとして、いいクルマになってきていると思います。特にボディ剛性ですね。プラットフォームが新しいDNGA(Daihatsu New Global Architecture)となって、シャシーが大きく進化したなとあらためて思います。それにブレーキのタッチや空力に関しても進歩を感じますね。ロッキーは、まずクルマの基本から作り込もうという考えで、ほぼノーマルで参戦してどんな課題が出るのかを見極め、今後のダイハツ車の進化に結びつけていければと思います。

──少し早いですが、今年のWRCラリージャパンに向けてはいかがですか?
相原
:昨年のデータを元に改善を進めているので、もっといいクルマになっていくと思います。第一の目標は完走と、いいクルマづくりにつなげること、さらに結果がついてくれればいいなという感じで頑張り増す。

殿村:同じクラスにライバルが来たらうれしいなというのもありますし、去年の結果を得て、色々な改善を織り込もうと思っているので、その効果を確認したいですね。

PLAYDRIVE / 2023年のWRCラリージャパンにも引き続き参戦を予定している。


──GMとしてチームをまとめる柴さんとしてはいかがでしょうか?
:なかなか荷が重たいですよね(笑)。今年も一番愉快で笑いが絶えない、そんな雰囲気でやれたらなと。でも、やる時はビシっとやります。

──TGRラリーチャレンジにも2年連続でのパートナーシップを発表しました。
:D-SPORTが『いいパーツづくり』をするにあたり、ラリーチャレンジが合致しているということです。先ほど話に出たダイハツ販売会社様からも「D-SPORTがロールケージを作ってくれたから出られました」って非常に喜んでいただきました。ですから、チャレンジしたいというお客様が手を挙げてくれた時に、そういった道筋を示せる案内役、橋渡し役ができればいいなと思っています。実際に販売会社様からも「出るにはどうしたらいいですか」という質問をいただいたりしました。昨年1年間やらせていただいて、少しずつお問い合わせをいただいたりしています。

Naoki Kobayashi / SPKは2年連続でTGRラリーチャレンジのオフィシャルパートナーに。


──最後に、今後の展望についてお聞かせいただけますか?
殿村
:ダイハツらしく地道にやっていくみたいなところですかね。軽自動車はご存じのように生活の足ですので、TGRラリーチャレンジや全日本ラリーで“生活する人たちの道”で鍛えることができます。ラリーとダイハツ車というのは親和性が高いんだなと思いますね。

相原:モータースポーツ活動で得た知見を活かして改善を繰り返していくので、我々の量産車、そしてアフターパーツ、SPKさんがリリースするD-SPORTの商品がみんな良くなっていくことを、楽しみにしていてください。ぜひラリー会場でも応援をよろしくお願いします。

Naoki Kobayashi / 沿道の応援も選手たちにとっては大きな励みとなる。




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